DXで描く理想の未来
中期経営計画で「IT企業への変革 ~100年続く企業を目指す~」というビジョンを掲げ、アイフルは「システム・UI/UXの内製化による柔軟な顧客対応」を目指し、全社的にDX(デジタルトランスフォーメーション)に力を入れています。コールセンターも例外ではなく、顧客体験の向上と業務効率化を目的にDX化が進行中です。
かつてコール音が鳴り響き、忙しさに追われていたコールセンターは、今では全く別の空間へと変貌を遂げています。この記事では、AIや自動化技術を取り入れ、変革への挑戦を続けるコールセンターの取り組みをご紹介します。
コールセンターの業務が大きく変わる
鳴り響くコールに応じ、オペレーターが大量の電話を受けたり発信したりする――これが、かつてのコールセンターの一般的なイメージではないでしょうか。難しい顧客対応に追われ、精神的な負担が大きい職場という印象もあります。しかし、これらはもはや過去の姿です。2027年3月までの3年間でコールセンター部門の生産性向上により運用費10億円の削減を目標に、お客様へのシームレスな対応や業務効率の改善に繋がる全社的な取り組みが進んでいます。
10年程前のコールセンターでは、営業担当が固定電話に番号を手動で入力して発信し、お客様からの問い合わせは電話がメインで、常に多くの入電がありました。コールセンター業務は人手不足やコスト増加、顧客ニーズの多様化といった課題に直面しており、こうした課題を解決するため、当社では2019年から本格的にDX化に取り組んできました。
2022年には、インバウンド・アウトバウンド業務の効率化を目的に固定電話を廃止し、*Amazon Connectを導入。これにより、オートコールやSMS送信が可能となり、アウトバウンド業務では、表示された情報を確認しながら電話番号をクリックするだけで発信できるようになりました。その結果、オペレーターの生産性が向上し、誤発信のリスクも軽減されました。導入前と比べて、架電効率は約6倍に向上しています。効率化に伴い人件費も削減され、年間で約1億5千万の削減効果が見込まれています。
また、*Salesforceの導入により、顧客情報に基づいて適切な担当者に自動で繋がる仕組みが整備されました。また、顧客情報が自動で画面に表示されるため、スムーズな対応が可能となり、リアルタイムでオペレーターの受付状況やお客様の待ち時間が共有できるようになりました。これにより、紙の印刷や直接説明する手間が省かれ、オペレーターの負担が軽減されました。また、自動化技術により、業務フローの効率化も実現しています。*RPAなどの活用により一部のWeb受付業務やメール送信の自動化が実装されており、Web受付業務では全体呼量の約38%をRPAで実施し、業務の負担が軽減可能となりました。その結果、お客様への回答スピードの向上にも繋がっています。
* Amazon ConnectはAWSのコンタクトセンター向けのクラウドプラットフォーム。
* Salesforceは見込み顧客との接点を強化し、成約までの一連のプロセスを効率化・最大化させるクラウドサービス。
*RPAはロボットによりPC上の操作を自動化する技術・ソフトウェア。
顧客体験に変化をもたらす
近年、コロナ禍を契機に、外出することなく自宅で多くの活動を完結させるライフスタイルが広まり、顧客が求める利便性が一層高まっています。この変化に対応し、当社では「スマホファースト・アプリネイティブ」を基本方針に掲げ、―お客様がどこにいても自己完結できるサービスの開発に力を注いでいます。私たちが目指すのは、単にデジタル化を進めるだけでなく、顧客体験を最大化することで、より快適でシームレスな体験を提供することです。以下に、その取り組みの具体例をご紹介します。
主な取り組み内容
1. アプリUI/UXの継続的な改善
2018年に視認性、操作性の向上を図るためアプリを刷新。アイフルカードがなくてもセブン銀行ATMで原則24時間365日、カードレス(スマホ)入出金ができるサービスも追加され利便性が向上された。内製化により継続的に改善を行っており、お客様の声をスピーディーに反映できるようになったため、アプリ評価が過去2.7だったものから4.6まで上がった。
2. FAQの拡充・チャット機能の強化
2019年12月より有人チャットサービスを開始。2023年3月FAQ、チャットサービスを刷新し、可視化されたデータからメンテナンスを継続的に行い、自己解決率が2024年3月には2022年度比で約10%の向上している。将来はAIが質問内容を予測し自動回答するAIチャットの導入を目指す。
3. IVRで顧客目的完結への最短ルートを設定
蓄積したコールリーズンデータよりフローを設定。お客様だけで自己完結できるフローに変更したことで導入前と比べて完結率が約20%向上。ニーズを把握し、アプリ・Web機能の開発にも繋げている。
今後の展望
問い合わせ内容の傾向など、これまでに蓄積したデータを活用し、将来的にはAIによる自動案内や手動作業の自動化を進めることで、お客様が24時間365日、いつでも自己完結できるシステムの実現を目指しています。そのために、アジャイル開発や新技術の研究に日々取り組み、よりシンプルで快適なサービス環境の提供を目指して挑戦を続けています。お客様にとってストレスのない顧客体験、すなわちスムーズな課題解決を提供することが、結果としてお客様に選ばれる会社になる鍵であると考え、これからも絶え間ないアップデートを行い、さらなる進化を遂げてまいりますので、ぜひご期待ください。