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【対談レポート】クリエイティブディレクター ✖️ アイフル社長「アイフルのブランディング・マーケティングを語る」前編

こんにちは!
アイフルのnote編集担当チームです。

今回は11月末に京都、12月上旬に東京で開催された株式会社ワンキャリア様とアイフル株式会社が主催したイベント『Executive Talk 〜経営・マーケティング戦略編』の模様をお届けします。

「経営・マーケティング戦略」をテーマに開催された本イベント。
アイフルの経営戦略とマーケティング戦略の結びつきやアイフルのキャッチコピー「愛がいちばん。」が生まれた背景について
代表取締役社長の福田と株式会社ワトソン・クリックのクリエイティブディレクター/CMプランナー 山崎 隆明さんが対談形式でお話しされた内容について一部にはなりますが紹介したいと思います。

🤝 登壇者 👤

福田 光秀 (アイフル株式会社 代表取締役社長)
京都府生まれ。
2003年大和証券入社、2009年OGIキャピタル・パートナーズ入社。
2011年アイフル入社、2020年創業者であり現会長の福田吉孝の跡を継ぎ代表取締役社長に就任。

山崎 隆明さん (株式会社ワトソン・クリック クリエイティブディレクター/CMプランナー)
京都府生まれ。1987年に電通入社。
シニアクリエーティブディレクターを経て、
2009年クリエーティブエージェンシー ワトソン・クリック設立。

ホットペッパー(洋画風アフレコ)、サントリー(細マッチョ)、日清カップヌードル(MV替え歌)、キンチョール(つまらん)をはじめ、最近ではアイフル(そこに愛はあるんか)、Life CARD(あのちゃん)、TOTO(ビッグベンとリトルベン)、アンファー(ミノキ兄弟)、など数多くのCMを企画制作。
SMAP 『チョモランマの唄」、関ジャニ∞『Candy My Love』 などの作詞・作曲も手がける。
クリエーター・オブ・ザ・イヤー、TCCグランプリ、ACCグランプリ、
広告電通賞、ロンドン広告賞など受賞多数。

ファシリテーター
宮下 尚之さん (株式会社ワンキャリア 代表取締役社長 執行役員CEO)

2010年、Mars Japan Limited 入社。
ペットフードのブランドマーケティングに従事後、経営企画室を経験。
2015年、株式会社ワンキャリアを創業。
以来、新卒採用支援メディア『ONE CAREER』、中途採用支援メディア『ONE CAREER PLUS』、採用DX推進を支援する人事向けサービス『ONE CAREER CLOUD』など、採用市場を変革するサービスを次々とリリース。

ふたりの出会い

まず伺ったのは、ふたりの出会いについて。

福田社長
2016年~2017年頃、アイフルのCMをリニューアルする際のコンペに
山崎さんが参加されたことがきっかけで、提案された企画が他社と違って本質的な内容だったを覚えています。
提案が心に残って、現場の宣伝部からも「山崎さんにお願いしたい」という声が上がり、お願いすることになりました。
そこから約7年、現在もご一緒させていただいています。

CMから紐解くブランディング

セッション序盤に山崎さんが今までディレクションされたCMを紹介されたのですが、参加された学生さんが熱いまなざしで観ておられたのが印象的でした。


大前提として、視聴者としての自分の感覚を大事にしているという山崎さん、アイフルCMのコンペに参加される際に、視聴者として観ていた過去のCMに感じた違和感からアイデアを広げたとのこと。

山崎さん
・カードローン業界全体の利率や借りやすさ等はほぼ同じなんです。
借りやすさの訴求をするために、芸能人が笑顔やユーモアを交えて「借りませんか?」というCM内容が主流だったんですが、一視聴者として違和感を持ちましたね。借りる時の信頼感ここに借りたいと思ってもらえる情緒的価値をつけた方がいいのではと。

・アイフルのCMだけの話ではなく、目の前にいる人にどのように印象付けて伝えられるかというのは考えていますね。
良くない考え方として、5,000万人の人に当てようと思って、5,000万人の人に語り掛けるような広告を作ったとしても、一人にも伝わらないです。
ひとにメッセージを伝えるという行為は1対1の素朴な行為なので、
目の前にいるひとにサービス精神を持って伝えようとする姿勢が大切だと思います。


広告はお客さまに広がって初めて機能するものなので、クライアントさん向けに接待広告を作ったとしても、世の中に出した際に結果が出なければ意味がないと思っています。
極力、世の中の人が見たいもの、自分が見たいもので作るようにしているんですが、クライアントさんの理解が無ければ叶えることができないです。

CM制作を依頼する際、意識していることがあるという。

福田社長:
CMに関しては、基本的に山崎さんにすべてお任せしています
現場(宣伝部)にも同じ認識をもってもらっているんですが、数回だけ、山崎さんにお願いしたことがあって…
CM出演者について「この人どうですか?」とお伝えしたことがあったんですが、山崎さんに丁重にお断りされたことがあり…(笑)
それでもあきらめず後日、別の方をお願いして採用されたのが、芸人さんを起用したCMなんですよ。

山崎さん:
福田社長からご相談いただき、最初は「CMの世界観にハマらないかな?」など、出演についてすごく悩みました。ただ、何でも「ダメです」というのはよろしくないかなとも思い…「ニセおかみ」であれば新鮮味もあっていけると思いました。結果、「ニセおかみ」CMは話題になったので、クライアントさんの言うことも聞いてみるべきだなと感じましたね(笑)

ただ、後日アイフルさんにお礼を伝えたのですが、福田社長の耳に入ってなくて...

福田社長:
お礼のエピソードが入ってこなかったので、山崎さんはしっかり優しく断られる方なんだと思っちゃいました(笑)


”愛がいちばん”という言葉が生まれた背景

「愛はあるんか?」「愛がいちばん」というフレーズが広く知られるようになったアイフル。その言葉がどのようにして生まれたのか

山崎さん:
アイフルの”愛”というワードを見つけて、これだと思ったんです。
愛を大切にしている企業というイメージを持ってもらうためにアイフルさんへ提案したんですが、断られると思っていましたね…

福田社長:
ほんとですか(笑)

山崎さん:
本当にそうで、そもそもこのビジネスモデルで愛を語る企業なんて今までなかったので、「もう少し借りやすさを楽しい雰囲気で伝えてよ」と言われるかと思っていました。ですので、「愛」を採用することを決断したアイフルさんに対して勇気のある会社だと思いました。
”愛がいちばん”の言葉の裏には「アイフルが一番」という意味も含まれているんですが、直接的な表現はできないので、「愛がいちばん、アイフル」という表現を提案したんです。

福田社長:
山崎さんのお話しでちょっと思い出したことがあり…今でもそうなんですけど、カードローン業界のランキングでは、アイフルが2、3番手という風に出ています。これは、様々要因はあるんですけど、競合他社さんを見たときに、ある特定のフレーズを長期に使い続けているんですよね。
一方、アイフルはいろんな言葉を使って…作って…という状況だったので「やり続けないといけない」と思ったんですよね。
やり続けるというのは、「昔からやっていて、耳に残るフレーズのCM」のように長くやり続けていたら、「皆さんに覚えてもらえる」という持論があったのと、山崎さんのコンセプト資料に”愛”という言葉が、一生普遍的に訴え続けられるメッセージとして記載があった。企業が消費者の皆さんに伝えることとして、普遍的でやり続けられることに一番価値があると思ったんです。

山崎さん:
広告でやろうとしていることは情緒訴求で、アイフルという社名や企業の何となくのイメージをお客さまに伝えることが広告の目的なんですよね。
3~4年前に甲子園に出場した高校球児が好きな言葉「そこに愛はあるんか」と書いてくれているのを
テレビ中継で観たんですね。その時にきっと彼らが60歳とかになっても「そこに愛はあるんか」や「アイフル」を何となく覚えてくれているだろうなと。そういう積み重ねがブランドとして大切だと思います。もちろん慈善事業ではないのでビジネスとしての結果も出るように複合的に施策を考えていきたいと思っています。

福田社長:
過去TVCMをやめるタイミングがあったんですが、その時に感じたことで、”認知されていない企業には借りにいかない”と思ったんですね。アイフル以外の他社さんに行き、断られたお客さまがアイフルに申し込みされるという状況が続きました。それがCMをやめたときの状況。そして会社が危機を乗り越え、CMを出し始めたら状況が変わっていきました。ただ今の社会において、TVCMに求められることは、クオリティだというのをすごく痛感しています。今はCMをやめるのが怖いですね…


カードローン業界の実情・アイフルのこれから

業界の実情とアイフルのこれからについて伺いました。

福田社長
アイフルグループはタイでもビジネスをやっているんですが、タイではお金を借りることについての恥ずかしさが文化的に無いんですよね。おそらくは、宗教観の違いがあるかもしれないんですけど…ただ、日本のカードローン業界は金利面を見ても世界と比較しておかしな部分は無いんです。
この業界が良かった時は2000年くらいで、そのタイミングでカードローン業界全体で派手なCMを出したことで業界全体が目立ってしまい、実際、多重債務者も出て、社会問題になり、金融庁の規制も入りました。
それからは言葉も変わっていき、昔は”キャッシング”だった言葉が現在は”カードローン”に変わり、銀行などの様々な企業が参入していて、昔とは変わってきている状況ですね。

「アイフルグループとして正しく見てほしい」と思っています。ですので、これからはアイフルグループとしてのコミュニケーションが重要になっていきます。私自身の経験として、外から見えるアイフルと、お付き合いしてくださった方とのアイフルの見え方の高低差があることを感じたので、そこを正しく変えていきたいというのが根幹にあります。コミュニケーションについても、まずは、社内から変えていこうと思っていて、自分のいる会社組織からより生きやすい世の中にしていきたいですね。

学生へのメッセージ

最後に、福田社長と山崎さんから学生に向けたメッセージをいただきました。

福田社長
私自身の話なのですが、就職1社目はすごく大切だと思い、就活は気合を入れてやったんですけど、今の考えとしては、企業規模はあまり関係ないのではと思う部分がありますね。
目指すべきゴールをどこに設定するかが重要。どういう世の中になってほしいというのは、自分軸ではない気がするので、自分軸の考え方を正しく持てばどこに行ってもどんな会社であろうとも人生としては失敗がないのではと思います。結果論を目的に持ってきがちなので、自分がどうしたらいいのかを考えて生きてほしいですね。

山崎さん
自分がやりたいこと、やれそうだなと感じる方向に行くのでもいいのではと思いますね。できるだけ楽しい方に進んで、過去の実績とか企業名とかにとらわれないで選んでもいいのではと...
ただ、自分の子供の就活の時には真反対のことを言ってしまったんですよ…
普段好きなことをやったほうがいいと言っているくせに、
自分の子供には、”安定している方がいいのでは?”と言ってしまいました。
親は子供のことを心配するあまり、客観性が欠落してしまい、
過去の自分の価値観で意見を言ってしまうな、と。
そう考えると、親の言うことを聞きすぎないのもコツかなと個人的には思いますね。


前編レポートでは、福田社長と山崎さんがお話しされた内容についてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?
後編では参加された学生さんからお二人に向けた質問やイベントの声を中心に紹介していきます!

ぜひ後編も見てください!👀



~イベントこばなし~

当日、学生さん向けのノベルティとして、アイフルのロゴが入ったチョコが配布されました!(かわいい)